パソコンは他の機械に比べて際立ってエラーの多い機械です。それにもかかわらず、皆あまり文句も言わずに使っています。
自動車やテレビでは考えられないほどエラーが多くても、あまり文句を言われない理由を考えてみました。
使う人が限られる
『総務省|平成25年版 情報通信白書|主な情報通信機器の普及状況(世帯)』によると、平成24年末のパソコンの世帯普及率は75.8%です。
パソコンを使う人が増えたと言っても、4分の3程度の世帯にしかパソコンはありません。パソコンの普及率が急激に上昇したのは、Windows95の発売以降です。それまでは、新しもの好きの一部の人が使うだけでした。いわゆるアーリーアダプターです。
アーリーアダプターは、品質よりも新しい機能を重視します。多少のエラーが出ても気にしません。そういう時代が長かったために、パソコンはエラーがあっても当たり前という常識が根づいたと言えます。
Windows95の発売でユーザーが増えたときに一部では混乱しましたが、それまでの常識を覆すほどにはなりませんでした。
原則的にシビアな使い方をしない
パソコンはエラーが発生して当然という常識がありましたので、人の命やお金にかかわることには、長い間使われませんでした。
エラーが出ればそれを避けて使うという使い方が当たり前になりました。エラーを避ける方法が、Tipsとして伝わるようになりました。パソコンがフリーズしたならば、再起動すればいいと思うようになりました。
基本的にそれで済む用途にしか使われませんでした。
シビアな使い方をするときは使い方を考慮する
それでも、人の命やお金にかかわることにも、パソコンが使われるようになりました。しかし、その使われ方は限定的です。新しいOSをすぐに入れるようなことはしません。十分に実績のあるものしか使いません。
さらに、このような用途でパソコンを使うときは、壊れてもいいように複数台用意しておきます。
つまり、シビアな業務で使う場合には、動作が安定していることが確認されている範囲で、複数台のパソコンを用意するなど十分に冗長性を持たせて使うことで、エラーの発生を避けています。
そのうちに修正される
インターネットが普及してからは、ソフトウェアのアップデートが容易になりました。以前は、全ユーザーにフロッピーディスクかCDを送らなけらばならなかったソフトウェアのアップデートが、インターネット経由でできるようになりました。
これが、ソフトウェアに不具合があっても、そのうちに修正されてアップデートできるという安心感をユーザーに与えることになりました。
まとめ
パソコンは、アーリーアダプターである少数の人しか使わない期間が長かったため、エラー回避よりも新機能を重視する文化ができあがっていました。そのため、それなりの使い方しかされていませんでした。シビアな業務にも使われるようになってからも、安定して動く実績のある範囲で、十分な冗長性を持って使われています。
インターネットの普及により、ソフトウェアのアップデートが容易になったこともあり、パソコンでエラーが発生してもあまり文句を言われない文化は継続しています。