トラブルに遭遇した時、あたふたとして何もできない人がいます。あなたはトラブルに巻き込まれたとき、適切に対応できますか?
コンピュータネットワークの技術専門誌である日経NETWORKで行ったアンケートの速報が流れてきました。ネットワークで発生したトラブルの症状や対応方法、解決までにかかった時間を尋ねたものです。
記者の眼 – トラブルに遭遇したら10人に4人が実行するアレって知ってる?:ITpro
トラブルに遭遇した人に、トラブルを解決するために行った手段を複数回答してもらったところ「コマンドを打つ」が1位で「パソコンやネットワーク機器の目視」「設定確認」「ログの調査」などが続いたそうです。
コマンドを使って対処したトラブルの方が早期に解決し、解決率も高かったという結果を興味深い結果と伝えています。
何とも奇妙な調査です。何を調べたかったのかわかりません。何が奇妙なのかを説明する前に、一般的にトラブルに遭遇したときにやるべきことを整理します。
現象の把握
まず、トラブル現象の正確な把握が必要です。ネットワーク障害では、どこかの機器が通信障害を検出するか、ネットワーク監視装置が機器の異常を検知する場合が多いはずです。
どの機器のどの部分が異常となっているかを正確に把握することが一番重要なことです。ただし、トラブルの原因となっている機器が、必ずしも異常となっているとは限りません。
検知できない異常状態になっている場合もあります。そのことも踏まえてトラブル解決にあたることが必要です。
この時には、「パソコンやネットワーク機器の目視」が行われるはずです。また、ネットワーク監視装置の確認も行われるはずです。
原因の切り分け
トラブルの現象を正確に把握したら、原因を推測します。ふつうは複数の原因が思い浮かびます。
思い浮かんだ複数の原因から真の原因を見つけるため、テストを行います。この時にコマンドが使われます。
原因が絞り込めたら、トラブル解決のため、原因となっている機器の交換や再起動を行います。ケーブルの抜き差しで解決する場合もあります。
被疑箇所の詳細調査
復旧優先のため、被疑部品がある場合は交換作業を優先しますが、再発防止のためには詳細な調査が必要です。原因切り分けのために詳細な調査が必要な場合もあります。
詳細な調査を行うために、ログの調査や設定の確認を行います。
トラブルでやるべきこと
トラブルでやるべきことは、まずトラブルとなっている現象を正確に把握し、原因を切り分けることです。必要に応じてログの調査などを行います。
「パソコンやネットワーク機器の目視」が1位にならないのは、トラブルを見つけた人が先にやっているため、その報告を聞いただけで、自分では確認していないためだと思います。
ネットワークのトラブルで、原因切り分けのためにコマンドが使われることは、当たり前です。
先のアンケート結果は当たり前の結果となっていますが、何を目的としたアンケートなのかわかりません。トラブル解決の速度には、何を優先して行うかという対応の順序が重要です。しかし、それを聞いていません。トラブルを解決するために行った手段を複数回答してもらっているので、順序がわかりません。
トラブルの内容を把握し、原因を見つけ、見つけた原因に対応するという手順は、ネットワークトラブルだけでなく、コンピュータ関係一般のトラブルや人間関係のトラブルにも当てはまることです。
どのようなトラブルでも、解決までの手順は変わりません。