開発途中で退職してもエンジニアに責任などありえません | 定年起業のためのウェブコンサルティング

開発途中で退職してもエンジニアに責任などありえません

退職

開発途中で退職したエンジニアの責任 東京地判平27.3.26(平26ワ12971) – IT・システム判例メモ』という記事をネットで見かけました。

ゲームの開発中に退職した従業員が、会社から開発が遅れた責任を追及され、訴えられたと書かれています。

こんなことが裁判になるのかという内容です。

この記事には、従業員が退職届けを出した日付と退職した日付が書かれていません。もし、従業員の退職が裁判になるとしたら、争点はそこでないでしょうか?

民法627条に次のように書かれています。

第六百二十七条  当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
2  期間によって報酬を定めた場合には、解約の申入れは、次期以後についてすることができる。ただし、その解約の申入れは、当期の前半にしなければならない。
3  六箇月以上の期間によって報酬を定めた場合には、前項の解約の申入れは、三箇月前にしなければならない。

出典:民法

期間により報酬を定めていない限り、2週間前に退職届けを出せば、会社は従業員を引きとめることはできません。

ところが、前述の記事では、従業員が開発設計仕様書を作成する義務があったかどうかが、争点だったとしています。

裁判所の判断は、開発設計仕様書は明確な指示がなくても、当然に作成しなければならないものとまでは認められないというものでした。

開発設計仕様書なるものは、業界や会社によって名称も内容も異なるものです。ドキュメントなど作らずに開発している会社もたくさんあります。

会社は、従業員の退職以外にも、死亡・病気・事故などで、仕事が滞るリスクを常に抱えています。そのリスクを回避するために、開発プロセスにドキュメント作成を組みいれることになります。

会社はそのリスクヘッジを怠っていたということです。

従業員がなぜ退職するのかわかりませんが、会社と従業員の間に大きな亀裂が生じ、会社が勝つ見込みのない裁判を起こしたように思えます。

社長と従業員がけんかし従業員が辞めたので、社長が腹立ちまぎれに訴えたというのが実態ではないでしょうか?

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