高齢者雇用安定法では、70歳までの雇用が起業の努力義務となりました。
年金受給年齢の引き上げも予想されます。
しかし、多くの企業が採用している役職定年制や雇用延長制度では、若いときと同じように働けるわけではありません。待遇や給与が大幅に下がることもあります。
そこで問題になってきているのは、老害シニアです。2015年12月17日の日本経済新聞には次のような記事が掲載されました。
「あの人と一緒なら、もう辞めたい」。大手システム会社の人事担当者は数年前、若手にこう告げられ、思わず言葉に詰まった。
問題の人物は定年後の再雇用で働く60代のシニア社員。ろくに仕事もせず、勤務時間中に社用携帯で飲み会の相談をし、資料作成も若手に振る。仕事が回らなくなった若手から悲鳴が上がった。
出典:日本経済新聞
老害シニアの発生原因
老害シニアの発生する原因はいくつかあります。
能力と仕事のミスマッチ
もともと能力があり成果を上げてきた人が、役職定年や雇用延長となり、待遇も給与も下がった場合です。
仕事は単純作業で面白くなく、年下上司のアラが見えてきます。どんなに仕事をやっても待遇や給与が改善されることはありません。
すると、労働意欲が低下し、仕事を放置したり、他人に仕事を押し付けたりする行動をとる人が現れます。
時代錯誤
時代の変化に対応できない場合です。コンプライアンス、ハラスメント、ダイバーシティ、ワークライフバランスなどの理解ができません。
若い人に見当違いの説教をしてしまうことがあります。その結果、職場環境に悪影響を与えます。
能力不足
自分の得意な分野で後進の指導ができればいいですが、それまでとは異なる職種に異動になる場合もあります。
例えば、生産部門から営業部門に異動になることもあります。慣れない仕事で成果を出せず、自信を失います。周りからは疎まれ、働く意欲もなくなります。
老害シニア対策
組織の管理者としては、老害シニアがいた場合、本人にきちんと事実を伝え改善を促すことになります。
さらに、能力と仕事のミスマッチであれば、少しでも難易度の高い仕事を割り当てる工夫も必要です。
時代錯誤であれば、研修などに参加させ、意識改革を促す必要があります。
能力不足の場合は、別の職種への転換も考えられます。
もし、以前の仕事で十分に成果を出していたならば、年齢による一律的な処遇が企業にとって大きな損失となっています。
自分がシニアの場合
日本経済新聞には、老害度のチェックリストも出ています。
- 自分の若いころと比べ、つい若い世代の仕事のやり方に口出ししてしまう
- つい自分の体験談や自慢話をしてしまう
- 以前の人間関係を引きずり、昔の部下や後輩に、命令口調で話してしまう
- 経験が豊富にあるので、若手にはできないことが自分にはできると思う
- デジタル技術にうとく、エクセルやパワーポイントの資料作成を人に頼んでしまう
- 電話を取るのは若手の仕事だと思っている。電話に出ても相手の言葉にいらいらして、横柄に話してしまう
- 定年後も働く理由について「家にいると妻や家族が嫌がるから」「健康のため」など、周囲の士気が下がることを言ってしまう
- 冗談のつもりでも、「給与が半分になったから、仕事も半分しかしない」など、やる気を疑われる発言をする
- 人の話を聞かなくなった、とよく言われる
- 「この仕事は自分に合わない」と、与えられる仕事のより好みをする
出典:日本経済新聞
3個以上で老害候補、6つ当てはまったら立派な老害だそうです。
今の会社で老害シニアになる前に、他の道を探した方がいいと思います。
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