Suicaの利用情報を販売するという報道に対し、不快感を持った人が多いようです。しかし、個人情報の扱いに関し重要なことは、別のところにあります。一部推測を含め、個人情報の現実をまとめておきます。
1.防犯カメラ
別の記事『オーウェル『1984年』の現実化』でも書いたとおり、現代の日本ではあらゆる場所に防犯カメラが設置されています。昔ではわからなかったであろう犯人の足取りが、警察によって突き止められているのは、報道されているとおりです。この現実は、いつ、どこに、誰と行ったかというレベルの行動は、調べられてしまうことを示しています。
2.財産
会社勤めの人は、給料から所得税と住民税を天引きされ、そうでない人も自宅等に納税通知書が届きます。つまり、所得や固定資産などの財産および住所は、すべて役所に把握されています。隠せば脱税であり、違法行為となります。
3.買い物
会員の割引カード等を使った買い物は、その店に把握されています。いつ、どの店で、何を買ったかを、販売カウンターで見られるようになっている店もあります。クレジットカードを作成したり、配送を頼んだりした場合には、氏名、住所、電話番号も記録されています。
4.通信記録
電話会社では、課金のため少なくとも、発信先と通話時間を電話番号別に記録しています。電話保有者の氏名や住所も把握しています。
ざっと考えてもこれだけの個人情報を提供して生活しています。米国では、国家安全保障局(National Security Agency:NSA)が大量の個人情報を収集していたことを元CIA職員が暴露したことがニュースになっていますが、日本でも同様に個人情報収集は行われていると考えた方がいいと思います。
日本の場合、個人情報の目的外利用は、個人情報保護法で禁止されていますが、犯罪捜査または犯罪防止の名目でどこまでのことが行われているのかがわかりません。
先日、Suicaの使用履歴から個人情報を除いたものを販売するという報道に対し、嫌悪感を待たれた人も多いようです。Suicaの使用履歴から個人情報を除いたものは、乗客の動きの把握に役立つことはあれ、個人生活に悪影響があることは考えられません。
マイナンバー制度も話題になっていますが、役所が明示的に把握している情報の範囲の話です。真に重要なことは、表に現れていないどんな情報を、どの組織が、どのように保有しているかを明らかにして、それらが適切に管理されているかどうかを、国民が監視できる仕組み作りです。