Twitter、Facebook、LINEとソーシャルメディアが社会に広まってきています。これらソーシャルメディアの特徴は、人と人とのコミュニケーションに影響を与え、社会も変えつつあります。
ソーシャルメディアの特徴を見ながら、社会がどのように変わっていくかを考えてみます。
文章の圧縮
Twitterには140文字という制限があります。この制限が気軽に投稿できるという気分を育みました。
Facebookも最初は文字数の制限がありましたが、その後、制限はなくなりました。それでも短い文章の方が良く読まれます。
投稿に対する返事として、コメントだけではなく、「いいね!」が生まれました。
LINEも文字数の制限はありませんが、長い文章を書く人は見たことがありません。LINEでは、文字の代わりにスタンプを送ることも行われます。
文章は短くなり、さらに「いいね!」やスタンプにとって代わられています。
これは、ソーシャルメディアにおいては、コミュニケーションが簡素化されていることを示しています。
なだれ現象
ソーシャルメディアの特徴になだれ現象があります。
ネットの炎上もなだれ現象の一つです。誰も扇動しなくても、怒りや非難の声が広がっていきます。
逆に、「感動した」という投稿もなだれ現象を起こします。冷静に考えれば作り話とすぐにわかる話でも、「感動した」という言葉が「いいね!」とともに広がっていきます。
はじめの小さな流れがある方向を向き始めると、その話題が飽きられるまで、誰にも止められなくなります。
一方向コミュニケーション
ソーシャルメディアが広まる前のコミュニケーションは、原則、双方向のコミュニケーションでした。
電話は完全に双方向です。手紙やメールも原則双方向です。
例外は、ラジオやテレビのようなマスコミュニケーションです。しかし、これを使えるのは、ごく一部の人だけでした。
ソーシャルメディアは、一般の人にも不特定多数に向けたコミュニケーションを可能にしました。
世界中に広がっているとは知らずに、仲間内だけのつもりの投稿がトラブルとなったのが、バイトテロと言われる現象です。
冷蔵庫に入ったり、食べ物を粗末に扱ったりした投稿が、解雇や退学、さらには倒産、損害賠償などにつながりました。
ソーシャルメディアの影響
ソーシャルメディア上での表現は、長い文章よりも短い文章が好まれます。さらに、ボタン、スタンプという簡略化されたものになっています。
ソーシャルメディアで人は、あまり深く考えず、なだれ現象が起きやすくなっています。
そのコミュニケーションは相手の反応を見て行うよりも、一方的に発信側の都合で行われます。相手がきちんと理解できるかどうかは、あまり考慮されていません。
コミュニケーションは、短く簡単になり、反射的かつ一方的になってきます。これは、思考も空洞化していることを意味しています。
お互いの背景を理解した上でコミュニケーションが行われているうちは、大きな誤解を引き起こすことは少ないかもしれません。
しかし、異なった社会的背景を持った人がコミュニケーションに参加した場合、誤解を引き起こします。
バイトテロは、その種のトラブルの一種です。
その結果、今より内向きなり、閉鎖的社会に閉じこもり、攻撃的になっていきます。
LINEいじめには、その傾向が現れています。
それを避けるためには、反射的で省略したコミュニケーションばかりでなく、相手のことをよく考えたより丁寧なコミュニケーションをとっていく必要があります。
ソーシャルメディアの特徴をよく理解し、人間本来のコミュニケーションを失わないようにしたいものです。