大人になると子供の時のように覚えられなくなります。また、ど忘れも増えます。覚えているはずのことが、なかなか出てこないことがあります。
そのため、大人になると頭が悪くなると考える人がいます。そういう人は次のような疑問を持つことになります。
回答は、歳をとった方が、頭が良くなるというものです。
篠原教授によると、頭の良さには大きく「流動性知能」と「結晶性知能」があるという。流動性知能とは、計算力や暗記力、集中力、IQ(知能指数)など、いわゆる受験テクニックに反映されるような知能のこと。この知能は18~25歳くらいがピークで、その後は徐々に落ちていき、40代以降になるとガクンと低下する。一方、結晶性知能は知識や知恵、経験知、判断力など、経験とともに蓄積される知能のこと。こちらは年齢とともにどんどん伸びて、60代頃にピークを迎える
自分の経験
自分のことを思い出しても、単純な記憶力は8歳ぐらいがピークでした。小学校3年で円周率を約3と習ったときのことです。先生が本当はこういう風に無限に続くんだと、10桁ぐらいを黒板に書きました。それは、一度見ただけで覚えました。
暗記力は18~25歳くらいがピークだそうですが、私の場合は、丸暗記ができる期間が小学校中学年ぐらいで終わったような気がします。
そのため、小学校高学年のときは漢字で苦労しました。中学に入ると英単語を覚えられませんでした。
しかし、漢字は偏と旁の意味が頭の中に蓄えられ、それぞれの漢字の意味と使い方が有機的に結びついてくると、それほど苦労なく覚えられるようになりました。それは中学に入ってからでした。
英単語も同じです。接頭語や接尾語、語幹の意味が頭に蓄えられると、新しい単語も覚えやすくなります。
実際、中学生のときは新しい英単語をなかなか覚えられませんでしたが、60歳を超えた今は新しい英単語を見ても、なんらかの形で知っている単語と結びつき、なんとか覚えています。
一方、あの情報とこの情報がつながるということは、すぐにわかります。高校の数学で微分を習い、物理で加速度を習ったときも、授業では関連付けはまったくありませんでしたが、すぐに結びつきました。
子供の時から好きだったのは、なぞなぞやパズル、頭の体操です。中学生のときに友人の家で多湖輝さんの『頭の体操』を見た時には、夢中になって解いていきました。
私の経験では、流動性知能でも暗記力以外は、歳をとってもあまり変わらない気がします。結晶性知能は間違いなく伸びていきます。
頭を良くする方法
頭を良くするためには、頭を使うことです。
特にアウトプットをすることです。読書などのインプットだけでは、頭の一部しか使っていません。アウトプットすることにより、知識も整理され、相手に理解してもらうために、より頭を使うことになります。
アウトプットするためには、当然インプットも必要になります。そのため、アウトプットが最も頭を使うことになります。
もう一つは運動です。運動が知能に良い影響を及ぼすことは、実験で確認されています。豊富な具体例が、『脳を鍛えるには運動しかない!―最新科学でわかった脳細胞の増やし方』に書かれています。
ゲームも頭に良いという説があります。しかし、ゲームは頭の使い方に偏りがあります。そのため、頭を鍛えるという意味では不十分です。
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