新しいアイデアを出す方法にブレーンストーミングがあります。数人が集まり、突飛なアイデアや過激なアイデアも否定せずに、人のアイデアを批判しないという原則で、できるだけたくさんのアイデアを出していく方法です。ところが、ブレーンストーミングは効果がないという説があります。
集団思考について調べた実験です。実験は、次のような方法で行われます。被験者を集め、無作為に2つのグループに分けます。1つのグループは、同じ部屋に集まり、あるテーマについてみんなでアイデアを出してもらいます。もう一つのグループは、一人一人別々の部屋で、同じテーマについてアイデアを出してもらいます。
それぞれのグループで出てきたアイデアの数と質を専門家が比較します。同様の実験を繰り返した結果、一人一人別々の部屋でアイデアを出した方が、量も質も上だったそうです。
「社会的手抜き」という現象が発生するためだと考えられています。綱引きのような形で、大勢で何かを引っぱるときの力は、一人一人の最大の力の和よりも小さくなるそうです。
一人で引っぱれば成功も失敗もすべて自分の責任になります。大勢で引っぱると、自分が最大の力を出さなくても分からないだろう、他の人ががんばってくれるだろう、成功しても個人としての栄光は得られないし、失敗しても個人の責任は問われないなどと考えるためです。
しかし、この結果は私の経験と異なります。ブレーンストーミングをすると、他の人のアイデアをヒントに新たなアイデアが浮かびます。それが、お互いに相乗効果となって、アイデアの量も質も一人で考えた時とは比べものないならないものが出てきます。
最も良いアイデアが出るときは、リラックスした状態で、あるテーマについて、豊富なアイデアが出る人と一緒に話をしているときです。
実験で、一人一人別々の部屋でアイデアを出した方が、量も質も上だったのは、集団で集まったグループにモチベーションが欠けていたか、アイデアが豊富に出る人が複数人いなかったためだと思います。
ブレーンストーミングで効果を出すためには、アイデアが豊富に出る人が、2~4人集まり、高いモチベーションで行うことが必要です。