電子書籍を書店で売るという発想 | 定年起業のためのウェブコンサルティング

電子書籍を書店で売るという発想

電子書籍

先日、また電子書籍を書店で売るというニュースがありました。

電子書籍で100社連合 アマゾンに対抗  :日本経済新聞

 国内の書店や出版社100社超が電子書籍の共同販売に乗り出す。出版社が相乗りして、電子書籍を販売する専用コーナーを書店各社の店頭に設けて需要を喚起する。対象となる電子書籍の種類を早期に10万まで増やす計画。アマゾンジャパン(東京・目黒)が先行する電子書籍の市場で、出版・書店業界のライバル企業が協力して事業を広げる。
出典:日本経済新聞

以前にも、書店で電子書籍発売の実証実験を行うというジャパゾンがニュースになっていました。ジャパゾンについては、私も記事を書いています。

ジャパゾン ― 書店で電子書籍発売 ― のねらい

ターゲットは誰か?

どのような人が、書店に電子書籍を買いに来るのでしょうか?

クレジットカード情報をネットに登録することに抵抗があるが、紙の本より電子書籍を読みたい人です。こういう人は、書店に電子書籍を買いに行くかもしれません。

それ以外に書店に電子書籍を買いに行く人は思いつきません。このような人は、どれほどの人数がいるのでしょうか?

実物の本をどうしても確認したい人もリアルの書店に行くかもしれません。見つけた本を買おうとするとき、多くの人はそのまま紙の本を買うと思います。電子書籍用のカードを新たに探して電子書籍を買うとは思えません。

電子書籍のメリットのひとつは、いつでもどこでもネット経由で買えることです。このメリットを捨ててまで、書店に電子書籍を買いに行く人は、きわめて少ないと思います。

紙の本が電子書籍よりも優れているところは、パラパラと全体を見やすいところです。リアルの書店に行けばそれができます。

また、リアルの書店では、大量の本をながめることができます。自分で検索することのない、思いがけない本を見つけることがあります。そうやって見つけた本を別の場所で電子書籍用カードを探して購入する人がいるとは思えません。

電子書籍では、リアルの書店の良いところがまったく活かされません。

それでも書店で電子書籍を売る理由

電子書籍をリアルの書店で売ろうという発想は、リアルの書店という既存の資産を何とかして活かそうと考えた結果です。

出版業界の書店や出版社が集まり、書店で電子書籍を売るという実証実験を何ヶ月も行いました。その結果、本格的な事業展開を決めたようです。実証実験で十分な市場があるという結果だったのでしょうか?とてもそのようには思えません。

誰か偉い人が言い出したことだから、そんな市場はありませんと言えないのではないでしょうか?

この試みが実証実験で終わらなかったということは、各社の担当者は後戻りできない状況に追い込まれている可能性があります。

内心では売れるわけがないと思いながらも、会社の業務命令で、書店での電子書籍販売を担当せざるを得ないのならば、早めに別の職場を探すことを勧めたいと思います。

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