Mac OS X Mavericksが正式発表されました。MavericksはMac App Storeを通じて、無料で提供されます。発表では、Windows 8 Proが$199であることと比較し、Mavericksは無料であることを強調していました。
同時にアプリケーションスイートである「iLife」と「iWork」も最新バージョンが発表されました。これまでiLifeは新規購入したMac製品にプリインストールされていましたが、iWorkも同様に新規購入したMac製品に対して提供されます。いずれも既存のユーザーは無料でバージョンアップできます。
これは、何を意味しているのでしょうか。新規にMac製品を買う人にとっては、iWorkが無料でついてくることになります。既存のユーザーにとっては、最新のOSとiWorkに無償でバージョンアップできるようになりました。
バージョンアップ可能な既存のユーザーの大多数は、最新のOSとiWorkにバージョンアップすると思われます。これは、Appleにとっては、古いOSやiWorkのサポート費用の削減につながります。OSとiWorkのバージョンアップ無償化は、ユーザーの忠誠度を高めることにもなります。
今回、バージョンアップ可能ではないユーザーにも、次のMac製品を購入すれば、無償でiWorkがついてきて、その後のOSとiWorkのバージョンアップは無料でできると期待を抱かせます。
Windowsユーザーにとっては、どうでしょうか。Windows XPは2014年4月でサポート終了となりますが、まだまだ使われています。Windows XPが動いているパソコンの多くは、その後のバージョンのWindowsを動かすことができません。新たにパソコンを買い直すことになります。
現在、WindowsからMacへの移行は昔に比べれば楽になっています。DropboxやEvernoteなどのクラウドは、インターネットに接続しインストールするだけで、データも自動的に反映されます。Google Chromeの設定なども自動的に反映されます。WindowsとMacの両方で使えるソフトウェアも増えています。
移行の最大のネックは、有料ソフトウェアを買い直さなければならないことです。Microsoft Officeのファイルは、iWorkで読むこともできますが完全互換ではありません。OpenOfficeやLibreOfficeなどのオープンソフトで代用も可能ですが、バグも多く機能も劣ります。Microsoft Office for Macを購入してもWindows版よりも古いバージョンになります。
OpenOfficeやLibreOfficeを使ってみたが、結局Microsoft Officeを買ったわけ
独自のアプリケーションプログラムをWindows XP上で動かしている企業ユーザーは、簡単にはMacに移行できません。仮想環境で動かすことはできるかもしれませんが、きちんとした検証が必要であり、性能面の不安もあります。価格的にもメリットはないでしょう。
今回のMac OS X MavericksとiWorkの無償化は、Windows XPの個人ユーザーからMacへの移行をねらったものです。新しくパソコンを買い替えなければならないならば、Macにしてみようというユーザーも多いと思います。
Microsftは、はたしてどのような対策をとるでしょうか。Microsoftは、Surfaceを除いてOSだけの提供ですから、Windows8.1の価格を下げることは収益に大きな影響を与えます。個人ユーザーに対して妥当な金額でWindows XPのサポート延長契約を結ぶことは、少なくとも売上が増え、ユーザーをつなぎ止めておけるという意味があります。
【2013年10月28日追記】
Microsoftの対抗策を別記事に書いています。
Mac OS X Mavericks無償化へのMicrosoftの対抗策